23日は水平歩道を欅平まで距離は長いが 下の廊下ほどでは無かろうと思ってたが
相変わらず一瞬たりとも気を抜けない狭い道が続く
全体的に黒部川沿いに下ってるのだから緑の部分が多くなるが
むしろ谷は深くなるばかりで急峻な断崖道は変らない
千尋の谷 踏み外しても木に引っかかるとは思えない
娘は常に壁の番線に掴まりながら歩いてる
体の重心を片寄せながら歩く事になるので左肩腰にかかる負担は如何ばかりかと思う
急ぐことはない ゆっくりで良いと言うのみ
筋肉に故障を起こさないで 歩き通してくれるのが何より 歩いてれば必ず着ける
道はとても良く整備されてるが それでも かって渡されてた外れた鉄板を見
新たに架けられた木道を歩く時は危険性を再認識する
どこも丈夫な芯丸太が使われてるが 多少の腐りが見られる所も無いではない
出発が遅かったので明るい内に欅平に着きたいと思うが絶対に娘を急かせる訳にはいかない
いざとなりゃビバークすれば良い 谷奥でターンする辺りにはテント張れる場所無いではない
足を捻ったり挫いたりし歩けなくならなきゃさえ良しと言うのみ
谷の反対側に阿曽原に向ってると思われる大きなグループがトンネルに近付いてるのが見えた
連中と間もなく交差することになる 広みのとこなら良いのだがと思いつつ娘に距離を詰める
20分程で人々の声が聞こえて来 出っ張りの狭いとこで互いが出会った
即座に先頭の年輩の男性が娘に言った 「 こちらは12人と数多いから 下がってくれ 」
なんと乱暴な言い方だと思いつつ
「 よし 〇〇ゆっくり少し戻れ 」 「 分った 」
20歩ほど戻ったが近くに安心できる程の広みが見えない
「 〇〇 そこの凹みのワイヤーにくっ付いて立ってろ お父さんこの角でしゃがむから 」
と言い娘を山側に不動の姿勢を指示し 吾は少し飛び出た崖側に片膝付いて
両手も地に付け誰かが倒れてきても吾が身を支えられる体制とって
「 来て下さいどうぞ~ 」「 急がなくていいですよ~ 」
グループは多くが女性だったと思う 皆さんそれぞれが 「 ありがとう 」
「 どう~も~ 」 「 すみませ~ん 」 「 後 あと一人で~す 」
「 は~い お気を付けて~ 」
お互い善意と思いやりの言葉を交わして交差し終え
我々は立ち上がり 歩きを開始した ほんの数歩で左に曲がると
「 あれ~っ お父さん トンネルだよ 」
「 なんだい こんな広いとこ有るじゃないか 連中3・4歩で戻れたじゃないか 」
思った あの先頭の男性 グループの単なるリーダーなのか ツアーガイドか知らないが
山歩きのマナーを知らない輩と言うべし
人数多い方を優先とは非常識極まりなし 安全な交差がまず一番だ
グループに数歩下がらせれば広みがある 出会った時点では半数は まだトンネル内だったに違いない
大勢に状況について 取るべき行動を教えるチャンスでもあるものを
12人の中には 我々二人をリバースさせたことの非を感じてる者も居たに違いない
なんともはや 慨嘆するのみ
しかしながら 歩きは愉しい トンネルもまた楽しい
その志合谷トンネルは真っ暗でヘッドライト必要 水溜りも多く靴が水に浸かってしまう程
使い捨てのだが靴カバーで助かった
天上からの落水足元にそれと分かるほどの川流れ 12分でトンネル通過 欅平側へ ➨